今回はカナヘビの卵の管理と、一匹のカナヘビが一夏の間にどれだけ卵を産むかについて、孵化を迎える為にすべき事などをまとめてみました。
また、我が家の雌カナヘビがワンシーズンに産卵した回数や数と孵化したデータも含めてご紹介したいと思います。
我が家の雌カナヘビは、アダルトサイズになってからお迎えしたので、生後何年のカナヘビなのかは明らかではありませんが、少なくとも2回は冬越しをしているサイズです。一度の卵の数は体格にもよると思うので、そこは個体差もあるものとして捉えて下さい。
ワンシーズン分の産卵から孵化までのデータは表にもしてみました。これが一般的なものかどうかは分かりかねますが、想像よりも多くの産卵数だと感じたので、ご覧になって下さるとありがたいです。
基本的な交尾・産卵・孵化についての流れは、こちらに書いてあります。
雌雄を飼うに当たっての交尾や産卵について
雄が交尾を迫るタイミングについて
生体となった雄カナヘビは、産卵シーズンになると成体の雌カナヘビから出てくるホルモンを感じ取り、交尾を迫ります。
雌カナヘビの下腹部に噛み付いて固定して交尾をするのですが、雌が逃げたりすごい大勢になったりするので、初めて見る方にとっては少なからずショッキングな状態になるかと思います。
雌カナヘビの下腹部に噛み付かれた痕が残るので、下腹部に噛み痕がある個体は卵を身籠っている可能性があるということが分かります。
また、卵を身籠っている雌カナヘビからは発するホルモンが変わるので、雄カナヘビは身籠っている雌カナヘビに対して交尾を迫りません。
そして雌カナヘビは産卵した直後からホルモンの変化をするので、雄カナヘビからにすぐに交尾を迫られることとなります。
雌の負担や飼育環境について
我が家のメスは、ほぼ2週間毎に卵を産んでいました。
正直なところ、一時期は「メスに負担が大きいだろう」「一年の間に、こんなにも卵を産ませるのはどうか…」と悩んだりもしました。
カナヘビの親はトカゲと違って、産卵後には卵を放置してしまいます。そして卵は向きが変わってしまうと孵りません。その分だけ、自然界においてはたくさんの卵を産まないと自然淘汰されてしまうのでしょう。
雌雄別での飼育をするべきかかなり迷いましたが、我が家の場合はそれをせずにワンシーズンを送ることになりました。これについては、個体同士の相性や力関係なども関係するのかもしれないのですが、下記の理由による判断でもありました。
あるカナヘビの文献には、成体のメスは一年のうちに6〜8回も産卵すると書いてあったので、そんなに驚く事ではないのかという安心もありました。
また、勇気をだして2匹を隔離してみたところで、カナヘビはある程度の期間は体内に精子を貯めておく機能がついていると知り、交尾をしなくても産卵してしまったので、ケージ内とはいえ怪我がなければ2匹をありのままに事を見守るしかないと割り切ることができました。
加えて、我が家のメスがものすごく食欲旺盛で元気でいたこと、オスがメスに対してジェントルで、離してしまう方が酷に思える程に2匹が仲良しだったので、別々に飼育する必要がなかったというのも理由のひとつとなり、ワンシーズン2匹仲良く過ごしました。
観察を怠らず、雌雄共に怪我等がないかの確認は毎日必要かと思いますので、その場に応じて判断していく事を大切にしたいと思いました。
我が家の2020年の卵と孵化の状況
捕獲以前は分からないとして、我が家に来てからの状態を表にしてみました。
産卵から孵化までの日数と卵の個数
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | |
産卵日 | 5/27 | 6/13 | 6/27 | 7/11 | 7/25 | 8/6 | 8/19 | 9/2 |
卵個数 | 3個 | 3個 | 3個 | 3個 | 3個 | 2個 | 4個 | 4個 |
孵化日 | 7/7~8 | 7/22~23 | 8/5 | 8/16 | 8/29 | 9/11~12 | 9/24 | 10/11 |
産卵から孵化 までの日数 | 51~52日 | 39~40日 | 29日 | 36日 | 37日 | 36~37日 | 46日 | 4日 |
備考 | ― | ― | ― | ― | 1個孵らず | ― | ― | ― |
産卵を確認してからの必須作業
卵の向きが大切
産卵したのを確認したら、まずはペンで上の印をつけます。
カナヘビの卵は向きが決まっていて、生まれた時と同じ向きで保管しないと呼吸ができなくなり、中で育たなくなってしまいます。
孵化までの環境
カナヘビ達とは他の昆虫ケースに(百均の100円サイズで大丈夫です)土を薄く敷き、卵を乗せて安定させます。周りを水苔で覆います。その水苔が常に湿っているように保ちます。
湿らせた水苔の上にそのまま卵を置いている方もいるようです。
卵には直射日光が当たらない様に、そして湿度が卵に行き渡りやすい様に、下の画像のように葉っぱを乗せておきます。
この状態で、水苔が乾く前に霧吹きをし(直接卵に水がかからないようにして)、ひたすら孵化を待ちます。
時々、葉を開けて向きや大きさ、カビや腐敗がないかチェックします。
卵の変化
温度や湿度により、大きくなる変化の速度は違います。
水分を吸って大きく丸く変化していきます。
無精卵の場合は、同じ環境であっても凹んでしまったり、硬く固まってしまったり、カビが生えてしまうことがあります。でも、有精卵と同じ様に大きくなっていくものもあります。こちらでは詳しくは書きませんが、光を当てて卵の状態を観察することはできますが、有精卵だった場合にストレスをかけて育たなくシてしまう危険性もあるので、なにより日々の観察が大事だと思います。
有性精卵の場合でも、途中で亡くなってしまい、卵が凹んでいったり、カビが生えてしまうこともあります。
異常が見られた卵からはカビ菌や病原菌等が発生する事がありますので、他のと隔離しなくてはいけません。
孵化のサイン 生まれる喜び
同じ日に産卵されたなら、同じ日に孵化するとは限りません。
毎日の管理をしながら、気づくと孵化していることが多いので、観察するしかありません。卵から汗のような水滴が見られると孵化のサインですが、全く兆候なく生まれてくる場合もありました。
カナヘビの孵化は何度見ても嬉しくて、赤ちゃんは可愛いです。
3つの卵から同じ日に孵化した画像があります。
一番手前が孵化して動き回っている子。
真ん中は、まだ体半分なしか卵から出ていない子。
一番奥は、殻が割れて肺呼吸に移り変わる途中段階の子!
角度を変えたら、2匹目がスルッと出てきました。 そして、3匹目が頑張って卵から頭を出している姿も分かります。
とてつもなく可愛いです。
こんな孵化したてのカナヘビ実際を見たら、子供達も私たち親も、なかなかバイバイできなくなるわけです。
とはいえ「最初のベビー達以外は自然で育ってもらおう!」と約束したので、ちゃんと放しています。
心から無事を願うばかりです。
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