今年も色々な虫と触れ合ってきましたが、今年は初めてカマキリをケースで飼育しました。毎年玄関の辺りで、春になると赤ちゃんカマキリを見つけ、秋にはお腹の大きなメスをたくさん見かけるので、なんだか飼っているようなものなのですが、実際にケースで飼育したら、更に色々な経験をしました。
今回は、カマキリと接した実際の記録を通して、カマキリの知識や飼育をお伝えできたらと思います!
カマキリについての簡単な知識
種類
カマキリは、なんと世界で1500種!日本でも約10種もの種類がいるとのこと!
日本のカマキリでは、『カマキリ科』と『ヒメカマキリ科』があるそうです。
『カマキリ科』にはオオカマキリ、コカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、ヒナカマキリ、ウスバカマキリがあげられ、『ヒメカマキリ科』にはヒメカマキリ、サツマヒメカマキリというそれぞれの特徴を持つカマキリがいます。
生態
逆三角形の頭、前足が鎌のような形をしていて普段は折りたたんでいます。大きな体なので、翅も大きいですが飛ぶ事は得意ではありません。翅は主に、威嚇の時に使います。
様々な昆虫やトカゲなどの小動物を食べる肉食昆虫です。生きている昆虫しか食べないというこだわりを持っています。何故、生きている昆虫なのかというと、生きている生物の動きから、その生き物は栄養満点で新鮮であることや病気などではないという事を判断しているからです。つまり、栄養満点で安心安全な食べ物しか摂り入れないようにしているのです。
カマキリの捕獲は積極的に動いていすのではなく、基本的に待ち伏せしています。獲物を見つけたらゆっくり静かに近寄り、獲物が鎌の届く距離まできら、0.1秒という速さでもって鎌で捕えます。
日頃から鎌の手入れもしていて、食べ終わった後も、口の回りや鎌などの汚れをを綺麗に掃除する習性があります。
獲物は、カマキリの種類やサイズによって自ずと変わります。日本のカマキリは小さめなので、昆虫やトカゲのような小さなは虫類を食しますが、日本外の大きな種類のカマキリになると、鳥や大型の昆虫を食べてしまうのだそうです。
幼体から成体になるまで
卵から前幼虫として柔らかく翅もない状態で生まれ、脱皮を繰り返して大きくなっていきます。脱皮の回数は種類によって違うようですが、全ての種に共通するのは最後的に成虫に変態するためには“羽化”をして翅を持った状態になるということがあげられます。完全な羽化の前に、小さな翅を持った状態になる種類もあります。
脱皮前は食欲が落ちるようです。
産卵場所には理由がある?
カマキリの卵は、卵鞘(らんしょう)というスポンジ状の袋の中に入っていて、ひとつの卵鞘に入っている卵の数は数百個だそうです。卵鞘の大きさや形はカマキリの種類によって違いますが約3~5cmで、外からの衝撃から卵を守っています。卵鞘は木の幹や枝などに産み付けられている事が多いですが、民家の壁でもよく見かけます。
また、種類により違いはあれど、大体地上から50〜250cmの高さに産卵します。雪国では、カマキリの卵の高さから、その数ヶ月後の積雪量を予想できるといわれています。カマキリは自然の色々な動きから、卵が雪で覆われてしまわぬ高さでありながらも、天敵から襲われにくい低さを選ぶ知恵を持っているそうです。
我が家とカマキリ
はじまり
事の始まりは、生き物大好き次男坊が、去年の秋にお友達から「これ、カマキリの卵だろ?やるよ!」と枝ごと貰ってきた事からとなります。
色々な状態を経て、実のところ同じカマキリでこのシーズンを育ててあげられた訳ではありませんでしたが、その分だけ知識も得たり経験もしました。
どうか、最後まで読んでいただけたらと思います。
気が付いたらカマキリだらけ!(2021.6.10)
今年は4月にやたらと暑い日があり、そこでカマキリの赤ちゃんと出会ったので、我が家に貰った卵はまだかな…と思っていましたが、半ば諦めてもいました。
5月は予想以上に涼しくなり、また暖かさを取り戻した6月のある日。玄関の外に出たら、なんの前触れもなく、孵化が始まっていました!!
立てかけておいた枝についた卵鞘から、次々と出てくる赤ちゃん達! カマキリは卵を一度に数百匹というのは、本当なんだと知りました♡
どんどん生まれ出ていき、それぞれの道をゆく…。
わちゃわちゃと生まれては、広がっていき…。セージの枝葉はカマキリだらけになりました!
卵の形と産まれてからの体の形で、恐らくハラビロカマキリだったと思います。
飼育環境を整えてみた(2021.6.11)
普通の虫かごや飼育ケースでは、ちょっとした隙間から出てしまう可能があるので、蓋にキッチンペーパーを挟んでみました。
枝や葉を入れているのに、キッチンペーパーの裏に身を潜めていることが多くて、面白かったです。
生まれたてのカマキリのエサはアブラムシ!又は共食い…そんな状態です。
早速、アブラムシ(赤いアブラムシ!)がたくさんついている雑草を探してきました。
まだ、水分を摂る時に、水をそのまま置いておいたら溺れてしまうので、水分を含ませたティッシュやコットンを入れておきます。
脱皮して大きくなぁれ(2021.6.14)
ケース内の子も脱皮をしていました!
同じ時期には、外でも脱皮をしている赤ちゃんカマキリを発見!
脱皮の後に奇形になってしまう場合も多くあるようです。
自然淘汰ということ(2021.7.4)
ケース内に5匹いた赤ちゃんカマキリ達…。アブラムシを与えていたにも関わらず、遂に1匹となってしまいました。
外のセージにいた数匹も、どんどん減り、2匹いたはずが1匹に…。
数日経ってから、元気に育っている1匹に“かまり”という名をつけて、可愛がって育てていました。
生き物の厳しさを知る(カマキリにとっての最終脱皮)(2021.9.3)
その後、3〜4回脱皮をした。“かまり”は大きくなってからも、どうしてもケースの蓋(天井)にぶら下がる姿勢を好みました。
この頃には、カナヘビ用のヨーロッパイエコオロギのSサイズや、外でとってきた虫を食べていました。
たくさん食べた後はお腹も重くなりますし、常に体が反り返っている状態になります。その点、ハラビロカマキリは文字通り腹の部分が広く丈夫なので、腹折れなどの奇形になりにくいそうです。
入れているアイビーにつかまろうとしないので心配していましたが、見守ることにしました。
そんなある日…、突然食欲が減りました。脱皮の直前だった様です。
脱皮をして大きくなるのですから、脱皮の時にはスペースの確保が必要となります。背中に翅がある事が見て取れたので、ちょっと無理をさせて途中からアイビーにつかまらせて、脱皮スペースを…と考えました。
でも、その無理をさせた事がアダとなったのだと思います。。
それまで、簡単に脱皮していたように感じていたので、甘く考えていました。
カマキリにとって、最終形態に近づく程に脱皮は体力を使うと、後で知りました。そして、生体になる『羽化』の脱皮では、脱皮不全で途中で亡くなるカマキリはかなり多いということも、後で知りました。
そっとしておいてやれば良かった“かまり”を途中で移動させた事で、無駄に体力を消耗させてしまったのでしょう。ただでさえ難しい脱皮を、私は邪魔をしてしまいました。
“かまり”は、脱皮途中で亡くなってしまいました。
運命の再会(餌不足なのでサヨナラを選びました)(2021.9.28)
“かまり”が亡くなり、寂しくもありましたが、仕方のない事です。素敵な経験と知識が増えました。一緒にいてくれた感謝の気持ちと共に、「もし来年もカマキリの赤ちゃんがいたら…」なんて考えたり考えなかったり。。
そんなある日、家の前のセージの枝にカマキリを見つけました。次男と悩んだのですが、一度ケースへ。恐らくチョウセンカマキリかオオカマキリでした。
一応“かまちょ”と名付けて可愛がってはいたのですが、餌が充分に与えられなくなってきました。(その時には爬虫類の練り餌を食べるとは思いもよらなかったのです)
今年はカナヘビの餌を探すのも難しく、家で飼育しているイエコのサイズも、タイミング悪くピンセットの先サイズばかりで余裕もなく…。だんだんど涼しくなって更に餌探しに困っているところでした。
このまま飼育しているよりは「外に放してやった方が“かまちょ”の為だね」と、元いたセージに戻しました。その後2〜3日はセージにいましたが、移動した様で「また産卵する時に会えたらいいね」と別れました。
運命の再会からの再会(2021.10.10)
ある晴れた日、玄関横の少し奥まったオシロイバナの辺りで、またカマキリを見つけました。こちらを認識しているのは分かるけれど、近づいても逃げません。
それから2日後、また同じ場所で恐らく同じカマキリと会いました。だんだん朝晩が冷える日があり、餌も減ったのか、それとも産卵場所を探しているのか…、少し動きが緩慢でした。お腹の大きさは目立ちませんでした。
次男に「またカマキリがいるね、同じ子かな?」なんて話しながら、心配しつつもそっとしておいて出掛けたのですが、帰宅したら…なんとそのカマキリがドアの真横でお出迎えしておりまして!
ドアに挟まれたりしたら可哀想ですし、とりあえずケースに入れてみようとしたところ、自ら入ってくるではありませんか!!
ハラビロカマキリではなく、見た目がオオカマキリでしたから、“かまり”の兄弟ではないでしょう。それでも、以前に会った“かまちょ”と似ていたので、これは何かの縁だろうと、飼育する事にしました。
産卵に立ち合う(2021.11.8)
オオカマキリであろう“かまちょ”をお迎えしたはいいけれど、餌に困りました。
我が家のカナヘビやカエルは、練り餌を食べるのと飼育しているコオロギもあるので冬もなんとか安心ですが、カマキリとなるとどうなのか?
とりあえず、コオロギを与えて様子をみていました。
そうしたら、ただ満腹なのかと思っていた“かまちょ”が産卵しているではありませんか!
なんの前触れもなかったので、ただただビックリしました!
尾の部分にある尾毛(尾角:2つの突起部分)で、見えないところを確認しながら、右から左…左から右…と卵を産み付けていました。
まさか産卵するとは思わず、しかもプラケースの蓋に産卵してしまうとは思わず…。でも見守っていました。
卵の形を見ても、改めてオオカマキリだと分かりました。
練り餌も食べる!(2021.11.23)
外にいるカマキリは、きっと産卵後に寒さや餌不足で力尽きてしまうでしょうが、寒いながらも屋内なので、“かまちょ”は元気でした。
困った事に、あまりコオロギのストックがなくなってきました。仕方なく、カナヘビやカエル用にしている練り餌(グラブパイ)を与えてみたところ…、なんと!食べる食べる!!
昆虫食用の練り餌ですから、きっと栄養価的にも大丈夫かと、その後も練り餌を与えていました。時々、コオロギもご褒美程度にしつつ、1〜2日に一度餌を与えていました。
プラケースの蓋を開けると、ピンセットから餌をもらえるという知恵をつけたようです。時々ピンセットごと鎌で押さえて持っていこうとして、放してもらうのが大変ですが、元気に生きていてくれて、少し安心です。
餌はもらえるものだと知った“かまちょ”! 爪楊枝にコオロギをつけて渡したのですが、途中で頭だけぽろり。。
頭の部分を再度与えようとしたら、見当違いな部分をガシッとつかまえてしまったり。。カワイイ一面を見せてくれました。
ただ…やはり、産卵後は時々ケースの蓋から落ちてしまう事も増えました。老化しているのは、仕方のない事です。
2度目の産卵をしました(2021.12.8)
皆さんは、カマキリは何度も産卵するって知っていましたか?…私は初めて知りました!
調べてみるところによると、タイミングや環境や飼育条件等が良ければ、5回は産卵をするらしいです!
日本の四季の中での自然のカマキリは、一度で力尽きるイメージしかなかったので、はっきり言って驚きというか…ショックでした。。
しかも、これまたそこまでお腹が大きくなる感じもなく、前触れもなく産んでいたものだから…。さっと目を向けた時に「産卵していた」と知った時は、目が点でした。
驚きのカマキリの産卵の知識
生体になったもの同士から、交尾をし産卵へと繋がっていくのですが、ヒメカマキリの場合は『単為生殖』ができるので、メス単体でも産卵(繁殖)できるそうです。
他のカマキリは、無精卵も産むので、春になっても孵化しないたまごを産む事になります。その代わりに、一度でも交尾をしたメスは、オスからもらった精子を受精嚢という袋に溜めることができ、産卵する際に少しづつ使い、何度も産卵できるようにできているのそうです。
今後のこと
2022年になり、“かまちょ”は年越しをし、まだ生きています。
練り餌(グラパイ)とイエコと水を与えつつですが、元気なイエコ(Mサイズ)になってくると、捕獲するのに5〜6回ミスをする位に衰えているのが分かります。
屋内カマキリとして飼育する
カマキリは人慣れしてくる、と聞いたりしましたが、元いた“かまり”が亡くなってからは、“かまちょ”の飼育については、我が家ではほぼ干渉はしないスタイルでいます。
冬場になり、室内(15〜20℃)の場所で、1〜2日に1度の餌やりをしていますが、毎回満腹にはしていないと思います。カナヘビの餌やりのついでとして適当に欲しがったら与えている感じです。
正直に言うと、日光浴も特になにもしてやっていません。(カナヘビの紫外線ライトからの光が届いている…かな?) ただ毎日挨拶して観察している程度です。
もし、満腹にしてやり、もっと適度な環境を作ってやれば、3回目の産卵もあるかもしれませんが、あまりそれは望みません。
それでも、個体差はあるのでしょうが、まだまだ食欲はあります。寿命まで、一緒に過ごそうと思っています。
卵は冬の寒さに当てて春を待つ…
“かまちょ”はケースの蓋に産卵してしまったので、“かまちょ”が老衰で亡くなったら、卵を外に出す予定です。
カマキリの卵は寒さに当てて、それから暖かくならないと、孵化しないのです。
気付いたら我が家の外壁にも卵鞘を見つけましたし、ハラビロカマキリの卵(卵鞘)を近所の方から頂いたりしていて、我が家にはカマキリの卵がたくさんです!
産まれてすぐの共食いになるのは極力避けたいですが、それもまた自然の摂理です。
次の春になるのが、また楽しみになりました♪
それまでの間、程々の距離をおきつつ、“かまちょ”との時間を楽しみたいと思います。
追記
2022年2月3日の朝、“かまちょ”は亡くなりました。
前日に、イエコのMサイズを捉えようと頑張っていて、でも自力では難しそうだったので、ピンセットで与えてあげたところ、残さず食べました。
それまでは、何度も何度も落ちてしまってもケースの上にのぼろうとしていたのですが、最後のイエコを食べてからは落ち着いて下にいました。
夜になるにつれ、だんだんと脚の力が抜けていくのが分かりました。
次男も寂しそうでしたが泣いたりはせず、こればかりは寿命を全うした事と、2月までも生きてくれた事に感謝していました。
これから、庭に“かまちょ”を埋め、「卵が有精卵だと良いね」と願って、卵を寒さにあてます。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました✩
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